その155 はたして「日本女性が虐げられてきた国か」

 前回はスイスのシンクタンク「世界経済フォーラム(WEF)」が発表した「ジェンダーギャップ指数」と国連開発計画(UNDP)が調査した「ジェンダー不平等指数」の発表の結果に大きな開きがあると紹介しました。
 これらはいずれも何ヶ国中、日本は何位であったか、という論点でみてまいりましたが、今回は、はたして「日本は女性が虐げられてきた国」か、という根本論で迫ってみたいと思います。

 わが国は、神が基を開き、神の守護する「神国」といわれています。その神とは「天照大神(あまてらすおおみかみ)」です。
 天照大神は、日本神話に登場する神で、女神です。
 天岩戸の神話は、日の神である天照大神に関する話です。
 神代の昔、天照大神は、弟のスサノヲの乱暴な行いを怒って天岩戸に身を隠し、そのために世の中が急に真っ暗になって、さまざまな災いが起こる。困り果てた神々は、一計を案じ、岩戸の前でおもしろおかしく歌や舞をして、とうとう天照大神を天岩戸から外へお迎えすることに成功し、世の中は再び明るくなったという話です。

 「記紀」(『古事記』『日本書紀』)において天照大神は、「太陽神」の性格と「巫女」の性格を併せ持つ存在として描かれている女神で、高天原を統べる主宰神で、皇祖神(天皇の祖とされる神)です。
 初代天皇の「神武天皇」は、天照大神の末裔です。
 天照大神は皇祖神として伊勢神宮に祀られており、日本の神で一番最上位にあります。

 わが国は「神話」の中心人物に女神・天照大神を戴いているということを大前提としなければなりません。
 それならば、まず表題の、はたして「日本は女性が虐げられてきた国」か、が「日本神話」によって根本から覆されてしまいます。

 時代が下って3世紀半ば頃、「邪馬台国」の「卑弥呼(ひみこ)」は女王です。
 邪馬台国は、『三国志』(魏・呉・蜀三国の史書)の『魏志倭人伝』に記されており、2世紀後半から3世紀前半頃の倭にあった最も強大な国です。3世紀半ばころ邪馬台国は女王・卑弥呼が支配していました。
 邪馬台国の所在地については、九州地方と畿内地方との両説があるようです。
 卑弥呼は『魏志倭人伝』等の古代中国の史書に記されている「倭国の女王」と称された人物です。

 『魏志倭人伝』によれば、
 「約30国が女王・卑弥呼の統治下にあり、239年魏に使者難升米を遣わして、明帝より親魏倭王の称号を与えられた」
 「倭人の国は多くの男王が統治していた小国があり、2世紀後半に小国同士が抗争したために倭人の国は大いに乱れたため、卑弥呼を擁立した連合国家的組織をつくり安定したとある。卑弥呼は鬼道に仕え、よく大衆を惑わし、その姿を見せず、また生涯夫をもたず、政治は弟の補佐によって行なわれたとも記されている。諱も不明で、239年に三国時代の魏から与えられた封号は親魏倭王。247年に邪馬台国が南に位置する狗奴国と交戦した際には、魏が詔書と黄幢を贈り励ましている。」(Wikipediaより)

とあります。
 また、卑弥呼が亡くなったあとは、男王が後を継ぐが邪馬台国の人々は受け入れず、女性の後継者である13歳の台与(とよ)=別名、壱与(いよ)が女王になり倭をまとめたとされており、ここにも「女性が虐げられた」片鱗もありません。

 さらに時代は下って、平安時代中期には作家で歌人の「紫式部」が登場いたします。
 紫式部は『源氏物語』の作者であることは有名ですが、ほかに『紫式部日記』を著し、歌人として『紫式部集』を残しました。また『後拾遺和歌集』などに入集し、『中古三十六歌仙』『女房三十六歌仙』『百人一首』に選ばれています。

 また同時代には、紫式部と並び称せられた「清少納言」がいます。清少納言も和漢の学に通じた才女で『枕草子』の作者として後世に知られています。また家集『清少納言集』を著したほか『中古三十六歌仙』の一人でもあります。
 1000年以上昔に、世界のあらゆる国で、こんな女流作家は日本以外に存在しません。
 どうでしょう。
つづく

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